雨音独酌
一人でも酒の呑めるヤツはよっぽどの酒飲みだ。
…と、言ったのは誰だったか。
上手い酒は友と酌み交わすのが一番ですが、一人で音楽と本を楽しみながら、あるいは徒然に文章を綴りながら酌む酒もけっして悪いモノではありませぬ。
あのくそ忙しい期間に沖縄をエンジョイしてきた相方が日に焼けた顔で差し出した泡盛は、私が「いい酒買ってきてよ」と渡した1万円で買ったもの。釣りはお駄賃ね。といいながら、二本買ってきたあたり、ヤツのことだから多少オーバーした分くらいは自分であがなったのかもしれず。
甕に入った上物は、妊娠中の友の出産祝いの酒にする事にきめ、もう一本の栓を抜く。
「海の道」
と書かれたラベル。瓶は、深い海の色。
とぽとぽとグラスに注いで、雨音を肴に、本日は晩酌。
何故か「模倣犯」を読みながら。
おもしろい。
酒に酔い、音に酔い、文字に酔う。幸せ。